2017公開映画私的ランキング50

2017年、日本で劇場公開された映画のうち

映画館orレンタルなどで観た映画の中で

50位〜1位まで超個人的なランク付け。

(あくまで私個人の好きな映画ランキングです)

 

☆は寸評

 

50位 「ジョンウィック チャプター2」

キアヌ・リーヴスふんする元殺し屋の壮絶な復讐劇を描き、銃撃戦とカンフーをミックスしたアクションが話題を呼んだ『ジョン・ウィック』の続編。殺し屋稼業から身を引いて静かに生活していた主人公が、再び熾烈な戦いに巻き込まれる。

 

☆超個人的な理由から怒りを爆発させた第1作から変わり、今回は規則やらのしがらみを超えた怒りの到達点的な、もう何が何でもぶち殺すという憎しみ対理性のオーソドックスな構図が物語を引き締め高めてやたらシリアスにしているのが素敵。ジョン・ウィックが掟と義理と人情の板挟みに追い込められるところが人間らしく、お前ちゃんと人だったんだな。とも思わせてくれるリアリズムまで追求。共感まで出来ちゃう親切設計がラストに涙を誘う。

 

49位 「スウィート17モンスター」

恋愛未経験ゆえに妄想を膨らませている17歳の少女が、さまざまな出来事を通して成長する過程を描く。

 

☆17歳というモンスターの道は、誰もが通り、誰もが悩み苦しむ交差点。距離の近い間柄への反発が大きく心も傷つきやすい年頃。自己顕示欲や承認欲求をテンプレートのように見せてくれる姿は、何だか小っ恥ずかしい気分だ。私は男だけども等身大の女の子の共感を呼ぶのもわかる気がする。勢いや暇つぶしでやったことはいつの間にか黒歴史となるから若気の至りって恐ろしい………。

 

48位 「美女と野獣

ディズニーが製作した大ヒットアニメ『美女と野獣』を実写化した、ファンタジーロマンス。美しい心を持った女性ベルと野獣の恋の行方を見つめる。

 

☆個人的にもはや、アニメ美女と野獣に手をつける行為は、【聖書】に手を加えることと同等。ハードルはかなり高い、しかしそれを容易く超えてくるのがディズニーというブランド。ホッとした気持ちになる。違和感や不満はいくらでも言えるが、どれも許容範囲内なのでオールオッケー。エマワトソンのスター性も光る傑作。

 

47位 「スプリット」

シックス・センス』などの鬼才M・ナイト・シャマランが監督、製作、脚本をこなして放つスリラー。女子高校生たちを連れ去った男が、23もの人格を持つ解離性同一性障害者だったという衝撃的な物語を紡ぐ。

 

☆23もの人格を持つジェームズ・マカヴォイが9歳になったりしますが、終始ドヤ顔で何だか物足りない展開。と思っていたら全人類、いやシャマラニストだけがついていけるぶっ飛んだラストが炸裂。いやいや自分がやりたいことやっちゃいましたみたいな終わり方には清々しさしかなかったよ。だって
17年越しのオチでしょ。もういろんな意味で笑うしかないやん(笑)

 

46位 「サバイバルファミリー」

ウォーターボーイズ』『ハッピーフライト』などの矢口史靖が原案、脚本、監督を務めて放つサバイバルドラマ。電気が消滅し人々の生活が危機を迎えた世界を舞台に、生き残りを懸けて東京脱出を試みる家族の姿を描く。

 

☆スケールの大きさを感じた。世界観はゾンビのいないアイアムアヒーローみたいな感じだ。荒廃する都市といい、高速道路といい、終末感が漂っていて見事。あぁそうそう、こういう世界観は好みだなぁ。都会から田舎まで巻き込んだスケールの大きさに比例しないコメディータッチな小さなユーモアが親近感を与えていた。身近に起こりうるかもしれない妙な現実感があった。

 

45位 「アトミック・ブロンド

シャーリーズ・セロン主演のアクション。腕利きのスパイが、奪還を命じられた最高機密のリストをめぐって熾烈な戦いを繰り広げる。

 

☆この映画は時代に踊らされたスパイたちの喜劇であるが、正直見所はどこかと訊かれればシャーリーズ・セロン演じる「ローレンの美しさ」としか答えられない。物語がややこしいとこもあり、ローレンの美貌で留飲を下げると言った若干悪癖の強い嗜好品のような印象があった。

 

44位 「ドクター・ストレンジ

ベネディクト・カンバーバッチを主演に迎えたマーベルのヒーローアクション。事故で両手が思うように動かせなくなった天才外科医の姿を描き出す。

 

☆IMAX3Dでの鑑賞だっため、時間と空間の概念を超えたトリッキーな世界観に圧倒された。天と地がひっくり返ったり、高層ビル群が歪んだりと、未知の映像体験に心が躍った。Guardians Of The Galaxyというコメディとアクションのバランスが絶妙で、タイミングや勢いまで完璧なMARVEL作品がある。やはり、それと比べてしまう。ストレンジというキャラクターは、そもそもトニースターク(アイアンマン)と性格が被ってしまう。その二つの懸念が、もうどうでも良くなる斬新な演出と気持ちを高ぶらせる中二病的なエンターテインメント要素がある。

 

43位 「キングコング 髑髏島の巨神」

 キングコングを神話上の謎の島に君臨する巨大な神として描いたアドベンチャー大作。島に潜入した調査隊が正体不明の巨大生物と遭遇し、壮絶な死闘を繰り広げる。

 

☆簡単な任務のはずだった(大嘘)な展開から、一撃でヘリコプターを叩き潰す圧倒的なパワーを持つバカでかいゴリラによる絶望感と爽快感が気持ちいい!そしてそんなゴリラだけではなく、個性豊か過ぎてヤバい怪獣(KAIJU)たちが次々に出現!いろいろ舐め切っていた人間たちに襲いかかる!もはや人間は虫ケラに過ぎない!超ド級!超ド派手!超バカ!なアドベンチャーアドレナリンドバドバムービーここに完成!最高!

 

 

42位 「ワイルド・スピード アイスブレイク」

世界的なヒットを記録したカーアクション『ワイルド・スピード』シリーズの第8弾。ヴィン・ディーゼル扮する主人公ドミニクの裏切りによって、強固な絆で結ばれていたファミリーが崩壊の危機に瀕するさまを描く。

 

☆ファミリーの絆というワイスピの支柱を破壊するような内容は大胆で、しかも破壊するのは大黒柱であるドミニクである。善人なのか、悪人なのか。誰が敵なのかという境界線を絶妙なバランスで保ち、昨日の敵は今日の友という少年ジャンプ的な展開が相変わらずホットだった。

 

41位 「グリーン・ルーム」

偶然殺人事件の目撃者となったバンドの仲間たちが楽屋にこもって反撃を試みる様子を描き出す。

 

☆人に狂気が加わり、凶器が生まれるということがよく分かる。アメリカではトランプ政権が爆誕したことで時代がエクストリームな方向へ向かっている。簡単に過激なモノを許容することが出来るようになっては、物事の判断がどうなってしまうのか予想がつかない。過激である考えと経済の格差が広がる昨今では、保守的な構造を破壊する衝動的な映画は年に何本か必要なのかもしれないなぁとか思ったりした。

 

40位 「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール

ミュージシャンの奥田民生に憧れを抱く雑誌編集者が、仕事で出会った美女に心を奪われ奔放な彼女に振り回されて苦悩する姿を、全編に奥田の楽曲をちりばめて描く。さえない主人公を妻夫木聡、彼を魅了する魔性のヒロインを水原希子が演じるほか、新井浩文安藤サクラリリー・フランキー松尾スズキといった俳優陣が出演。

 

☆世の女性を敵に回しそうな、男ってバカねって思わせる作品。そうです、男ってバカです。でもそんな男に惹かれるバカな女性もこの世にはかなりいるわけで…。人に対して、特に素敵に見える人に自分の幻想を映し出すのは誰もが通る道。そこをしっかりと見極め、成長し、もがけよ。奥田民生はカッコいいぜ。

 

39位 「エイリアン コヴェナント」

巨匠リドリー・スコット監督がメガホンを取った『エイリアン』シリーズの原点となるSFホラー。移住のため宇宙船コヴェナント号で旅立ったクルーたちが、ある惑星で遭遇した出来事を描写する。

 

☆今回は「種の起源」から「種の創造」への移行がプロットとして成立し、アンドロイドと人間、そしてその上の存在の立場を利用した脚本作りは興味深いものがあった。クリーチャーデザインや、ホラーSF要素もバッチリでしっかりとしたエンターテインメント作品に仕上げているのは流石。

 

38位 「スイス・アーミー・マン

ハリー・ポッター』シリーズなどのダニエル・ラドクリフが主人公である死体を演じ、『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』などのポール・ダノと共演した異色作。無人島で遭難した青年が、死体と共にサバイバルしてわが家を目指す型破りな冒険を活写する。

 

☆滑稽なのは、自殺志願者と死体が「生きる喜び」を模索することである。この映画は万人受けではなく、この下品でくだらない設定をどれだけ受け入れられるかが批評の分かれ目になる。物語としては深いところまで掘り下げていくのだが、下品なギャグと奇妙さを笑って許せるかどうかで面白さは段違いだ。

 

37位 「パターソン」

詩をつづるバスの運転手の日常を映し出す。

 

☆仕事をしていると毎日が同じ日の繰り返しに思えてくる時がある。毎日同じことをしている。それが嫌だったはずだったのに、いつの間にかそうなってしまった。でも、違うんだよなあ。毎日、着実に何らかの違いがあって、仕事の中でも統一性のないものがあって、美味しいもの、不味いもの、好きな人、嫌いな人に出会って日々は変化しまくっている。忘れがち。あまりにも忘れがち。

 

36位 「マンチェスター・バイ・ザ・シー

マット・デイモンがプロデューサー、ケイシー・アフレックが主演を務め、数々の映画賞を席巻した人間ドラマ。ボストン郊外で暮らす便利屋が兄が亡くなったのを機に帰郷し、16歳のおいの世話をしつつ自身が抱える過去のトラウマと向き合う姿が描かれる。

 

☆私たちが過去を振り返ると必ず忘れられない罪や後悔が存在するだろう。ずっとそれを背負い、ふとしたことで思い出し、後悔の念に苛まれる。そこを一点集中砲火でスクリーンに映し出したのがこの映画である。主人公リーが背負う罪は、誰よりも自分を許すことができない残酷な過ちである。なかなかに笑えない話であるが、暗い話ではない。人と密接な関係を持つことの弊害は、何か悲惨なことが起きたときに気づかされる。大切な人が多いほど、失う人の怖さが何かが起きて初めて分かるのだ。

 

35位 「夜空はいつでも最高密度の青色だ」

 最果タヒのベストセラー詩集を実写映画化。東京を舞台に、都会で暮らす若者たちの出会いと恋の始まりを映す。

 

☆この映画で描かれている恋愛は、うっとりするようなものではなく、キュンキュンするようなものでもない。ギリギリなまでに切羽詰まったようなささやかで、人によってはみっともなく見えるような人の姿・形。相手に感じる「何か」を本物の恋愛とするのか、それを見極めようとする恋を深堀していく。恋も愛も信じられない2人が「本物」を感じ当てるのだ。

 

34位 「暗黒女子」

秋吉理香子の小説を基にしたミステリー。ある生徒の謎めいた死で動揺が広がる女子校を舞台に、彼女を殺した者がいると疑われる文学サークルの面々が、犯人を告発する物語を朗読会で発表するさまが描かれる。

 

☆表裏一体の関係性にあるイヤミスとキラキラ。女子高だけでなく、女子が集まったときに発生する友愛と憎しみの感情。少女漫画のようなキラキラした理想の恋に憧れつつも、現実はもっとリアルで残酷に、繊細な想いを引き裂かれていくことだらけ。本作品では、優雅な中のダークな世界観と、そこで蠢く美少女たちの息苦しいまでの呼吸を捉え、それぞれの魅力を醸し出すべく腐心している姿が描かれていた。最近は思春期男女のキュートな恋物語などを謳ったキラキラ映画が大流行りですが、本作はそれとは真逆の思春期であるがゆえの少女たちのドロドロとした闇の感情を吐露していくことでカタルシスを与える生々しさがあった。

 

33位 「ザ・コンサルタント

ベン・アフレックが、複数の顔を持つアンチヒーローを体当たりで演じるアクション。夜な夜な巨悪に鉄槌を下す片田舎の会計士が、裏社会で壮絶なバトルを繰り広げる様子を映す。

 

☆ネタバレ無しでは語ることのできない作品。2013年「アウトロー」、14年「イコライザー」、15年「ジョン・ウィック」、16年「エージェント・ウルトラ」に続く舐めていた〇〇が、実は殺人マシーンだったシリーズの新作。顔のでかいベンアフレックのアクションと、彼の演技力は本物。

 

32位 「パイレーツオブカリビアン 最後の海賊」

ジョニー・デップが孤高の海賊ジャック・スパロウを演じる、大ヒットシリーズ第5弾となるアクションアドベンチャージャック・スパロウが、全ての海賊の滅亡をもくろむ“海の死神”サラザールとの闘いを繰り広げる。

 

☆呪い、宝、家族……アクションに関しては正直、何か物足りなさを感じる場面も有りながらも最後には満足感に包まれる。興奮してもうた。いやホントに夏と共にやってくるシリーズだな。心躍らせるテーマ曲に海の広大さとファンタジー。新キャラとお馴染みキャストの魅力に心が撃ち抜かれる129分です。

 

31位 「スターウォーズ 最期のジェダイ

世界的な人気を誇る『スター・ウォーズ』シリーズの新たな3部作の第2章。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』後のストーリーが展開する。『LOOPER/ルーパー』などのライアン・ジョンソンが監督と脚本を担当し、前作に引き続きデイジー・リドリージョン・ボイエガマーク・ハミルらが出演。レイがルーク・スカイウォーカーから知らされる真実や、ダース・ベイダーになろうとするカイロ・レン、レジスタンスたちの新ミッションなど見どころ満載。

 

☆「こう疑えば、こう覆される」というような、疑念を持たせては否定して新事実を出していくという展開が立て続けに現れる新しいスターウォーズ。宇宙での戦いが多く、ジェダイ以外のキャラクターをメインにして活躍させていた印象。これ以上はネタバレになるので言えないが、ファンにとって最高かつ、最低になる可能性のあるスターウォーズだった。

 

30位 「東京喰種」

石田スイの人気コミック「東京喰種トーキョーグール」を実写映画化。人間を捕食する異形・喰種が潜む東京を舞台に、ある事故を契機に半喰種となった青年の運命を謎めいた少女との出会いを交えながら活写する。

 

☆原作で重要となっているセリフもそのままで、忠実さは原作のリスペクトの象徴。映画のオリジナリティという部分は邦画特有の人間ドラマで構築。アクションは、原作にあった葛藤を背負いながらのアクロバティックな戦闘シーンを映像で表現。思わずニヤリとしてしまうような赫子(かぐね)、クインケという原作からの再現要素もばっちりな戦闘する為の力。恰好いい。しかもそれぞれのキャラの感情を反映したものを表現出来ていると感じた。

 

29位 「メッセージ」

テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を基にしたSFドラマ。球体型宇宙船で地球に飛来した知的生命体との対話に挑む、女性言語学者の姿を見つめる。

 

☆時代にあった「コミュニケーションの難しさ」を打ち出し、発信したこと。人間ではない何者かとの意思疎通を描きながらも、人同士のコミュニケーションの深みまで触れていく。SNSでコミュニケーションが多様化した今だからこそ、突きつけられるに相応しい人間性を考えさせられる命題を映画という形で発表した。「自分がわかっていること」を相手に伝えることが難しいのは、いつの時代も同じ。言葉が足りなかったり、理解が足りていなかったりでね。そんな時に様々なコミュニケーションツールが出現したもんだから更に面倒なことになった。コミュニケーションはどんどん多様化し、複雑なものへとなっていく。どうすれば伝わるのか。どう伝えるべきなのか。人はもっとそこを深く、小さく考えていかなければならないのかもしれない。

 

28位 「マイティ・ソー バトルロイヤル

アベンジャーズ』の一員であるソーを、クリス・ヘムズワースが演じたアクションシリーズの第3弾。ソーのハンマーを破壊するほどの力を持つ敵が登場し、宇宙の果ての星でとらわれの身となったソーが戦う姿を活写する。

 

Led Zeppelinを大ボリュームでバックで流しながらギャグとアクションが飛び交う131分!いやお前らシビルウォー出てる場合じゃなかったよほんとに!「移民の歌」が頭から離れなくなる上にハイセンスなギャグと、お久しぶりなキャラクター。ソーの世界観を飛び出し、冒頭からテンションも頭もバカになる。

 

27位 「ナイスガイズ!」

リーサル・ウェポン』の製作・脚本コンビ、ジョエル・シルヴァーシェーン・ブラックがタッグを組んだバディムービー。ラッセル・クロウライアン・ゴズリングが主演を務めた、暴れん坊の示談屋とさえない私立探偵が、ある事件を捜査するうちに国家を揺るがすとてつもない陰謀に巻き込まれる物語。

 

☆笑いに繋がるのは2大スターのキャラクターがいてからこそだが、音楽やファッションといった当時のカラフルでポップな時代を全面的にフューチャーしたからユーモアが生まれたんだと思う。映画に見るポルノ産業やアメ車の衰退という社会派なテーマをコメディーで笑い飛ばす一撃を持っているだけあって、下品でも清々しい気持ちになれるユーモアセンスは抜群だった。まだ何か次に起きるんじゃないか?という期待感が常に感じられて、そこにやって来る避けられない笑いが心地いい。

 

26位 「素晴らしきかな、人生」

プラダを着た悪魔』などのデヴィッド・フランケル監督が手掛けたヒューマンドラマ。愛する者を失い仕事も私生活も行き詰まった男が、クセのある舞台俳優たちとの交流を経て人生を見つめ直す。『幸せのちから』などのウィル・スミスを筆頭に、ケイト・ウィンスレットキーラ・ナイトレイエドワード・ノートンヘレン・ミレンら豪華俳優陣が出演。温かなストーリー、女優たちが身にまとう華麗なファッションの数々に注目。

 

☆共感とは、リアルな感情を描かないと得られないものだと思う。普遍的なテーマを扱う映画では、現実味が重要な要素になるだろう。
その中でも、誰もが経験する「つまずき」の感情をピックアップし、テーマの前提とした。終わってしまった物事は何をもってしても改善することはできない。でも時は過ぎていく。つまずいて、転んで、怪我をしても呼吸はしている。生きているのだ。誰もが直面する「つまずき」という事柄について描いた映画に共感しないはずがないのだ。「つまずき」の感情は、世界中の人に通じるだろう。

 

25位 「LION ライオン 25年目のただいま」

幼少時にインドで迷子になり、オーストラリアで育った青年が Google Earth を頼りに自分の家を捜す姿を追う。

 

☆物理的な距離だけではなく、人はみんな迷っている。人は人のことを知らなすぎる。好きな人に関することでさえも意外な事実が、ふと発覚することもある。そして、自分のことも分からない。精神的な迷子である。だから知りたくなる。探したくなる。自分という存在のルーツを訪ねずにはいられない。存在の価値や自分の居場所を確かめずにはいられない。そんな人の根源的な欲求が詰まった作品は愛おしい。

 

24位 「夜は短し歩けよ乙女

京都の移りゆく四季を背景に、パッとしない大学生と彼が片思いする後輩の恋の行方を、個性的な仲間たちが起こす珍事件と共に描く。

 

☆ハマる人にはとんでもなくハマると思う。アニメやマンガの中にあるギャグ回だけを抽出したような展開と、圧倒的な耳から入ってくる情報量がビックウェーブ。押し寄せては、繋がっていく伏線たちが恋愛の深層に私を潜らせた。そんな連鎖的な情報量の繋がりが、本作品をギャグとラブが詰まったラブコメ映画であると認識させない。
実際にジャンルという概念をぶち壊していく映画はいくつもあるし、映画自体が様々なジャンルを横断して作られる娯楽という媒体だ。しかし、本作は視覚というよりも聴覚を刺激させ情報のパワーで視覚さえもパワーアップさせるのだ。映画は「観るもの」であるにもかかわらず、映画を「聞(聴)くもの」としていた。耳からの情報だけで楽しめる。イメージできる。

 

23位 「パワーレンジャー

日本の人気シリーズ『スーパー戦隊』の英語版で、アメリカをはじめとする世界各国で放送されているシリーズの劇場版。かつて5人の戦士によって守られた地球に新たな脅威が接近、驚異的なパワーを身に付けた高校生たちの戦いと葛藤を活写する。

 

☆ティーンが紆余曲折を経て協力してみんなで悪を成敗する青春ムービー。いろんなビジュアルは好き嫌いが分かれるだろうが、とにかく熱く盛り上がる構成はあんまり細かいこと気にしなくて良くなるから大好き。熱いっていいね。しかも爽やかに終わるから気持ちいい。最後の決戦シーンはめっちゃ応援しちゃったよ。続編やってくれ〜!!!

 

22位 「ハードコア」

大事故で損傷した肉体にマシンを組み込まれたことで超人的能力を得た男が、妻をさらった悪の組織に立ち向かう。主人公の視点のみの完全一人称で映し出されるビジュアルや、壮絶なシーンの数々に息をのむ。

 

☆この映画主人公は自分なのだ。全編FPS(一人称視点)で作られた本作は、観るからシンクロするという、映画の新しい表現方法を実現した超意欲作! ロシア出身の新人監督イリヤ・ナイシュラーが制作したプロモーション映像がネット上で大きな反響を呼び、クラウドファウンディングによって長編映画化が実現したという次世代の一本!

 

21位 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーミックス

1970年代を中心にヒットした数々のナンバーに乗せ、異色ヒーロー集団が大暴れする『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の第2弾となるSFアクション。銀河の平和に尽力する個性派チームの活躍を描き出す。

 

☆トーンやスタイルにおいても他のMARVEL映画とは全く異なる斬新かつユニークな作品の待ちわびた続編!銀河系の彼方からやって来た風変わりなキャラクター・チーム!ずっと待ってましたよ!いえーい!本作では、ガーディアンズのチグハグなチーム内の関係性変化がメイン。前作が「新しい家族になるまで」を描いた物語だとしたら、本作は「家族として共に生きること」を描いた。

 

20位 「新感染 ファイナルエクスプレス」

 感染した者を凶暴化させる謎のウイルスが高速鉄道の車両内に蔓延する中、乗客たちが決死のサバイバルを繰り広げる。

 

セウォル号転覆事故を彷彿とさせるような人間の醜い執着心からも、本作はただのゾンビムービーではなく、昨年日本を騒がせた「シンゴジラ」のような政治的なメッセージを含む社会的意義のある映画であるのかもしれない。そんなとこから、ゾンビムービーにも時代を感じ取れる映画となっていた。

 

19位 「スパイダーマン ホームカミング」

トム・ホランドを主演に迎えたヒーローアクション。血気盛んなスパイダーマンが、突然出現した怪物に戦いを挑む姿を活写する。

 

☆物語がどんどん巨大化していくマーベルシネマティックユニバースの中で、身近な10代のヒーローを出現させ、青春時代をも想起させる。遠くへ、広がってしまったものを身近へ感じさせる意味でもホームカミングというタイトルはベストアンサー。今後も広がるであろうMARVEL世界の中でも、身近な存在で居続ける。それこそがマーベルシネマティックユニバースの中で生まれ変わった新生トムホランドスパイダーマンではないだろうか。

 

18位 「コクソン」

とある田舎の村に一人のよそ者が出現したのをきっかけに凶悪な殺人事件が頻発し、人々が混沌の中に突き落とされるさまを描く。

 

☆業が深い

 

17位 「ミスペレグリンと奇妙なこどもたち」

奇妙な子供たちが暮らす屋敷を訪れた少年が、彼らに迫りつつある危険と自身の秘めた宿命を知る。監督は、『アリス・イン・ワンダーランド』などのティム・バートン

 

☆ファンタジーの根源には、空想が存在する。子どもの頃には信じていた空想を大人になると捨てていく。でもたまに気になってしまう「世の中に隠された秘密」がある。そこを上手く表現し、「特別」な場所を作り上げ、さらにそこから始まる冒険と成長は現実を脱出させた。空想が蘇り、空想が現実となる。現実に閉じ込められていた物語が、人々に「特別」という贈り物を届けたのだ。

 

16位 「愚行録」

未解決の一家殺人事件を取材する雑誌記者が、その思わぬ真相にたどり着く姿を追う。

 

☆ミステリーは偏差値40程度にされ、推理がしやすく、さらに客観的に観ている最中に「もしかしたら…?」みたいな考察をさせるようなストーリーの構築を使う。推理させたことから気づいて欲しいことがあるという主張が大切で、つまり分からせることに意味があるため、難しすぎる話は要らないのである。衝撃!という強大なインパクトは確信が先に来るために、遅れてくるのだ。それは知っていく過程が重要で、決して「衝撃」は重要にならない作品。

 

15位 「バイオハザード ヴェンデッタ

バイオテロ組織に属するクリスが新型ウイルスの事件を追うレベッカやレオンと一緒に、バイオテロをもくろむアリアスと壮絶なバトルを繰り広げる。エグゼクティブプロデューサーを『呪怨』シリーズなどの清水崇が務め、スタッフに脚本の深見真や音楽の川井憲次らが名を連ねる。おなじみのキャラクターの活躍、新キャラクターの登場が見どころのアニメーション。

 

☆派手な演出をフルCGアニメでエモーションたっぷりに描き、ガンアクション映画としてもホラー映画としても質の高い物語に仕上がっている。本作品を観た人はアニメ映画ではあるが、日本映画の底力を見たような気にもなるのではないか。日本って凄いわ。

 

14位 「ワンダーウーマン

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』にも登場した人気キャラクターで、美女戦士ワンダーウーマンを主人公にしたアクション。女性だけの一族出身で男性を見たこともないプリンセスがたどる運命を描く。

 

☆女性だからかわいらしくあるべきとかそういう一般的な価値観をもぶっ殺すくらいの豪快さが爽快で、ワンダーウーマンのテーマとマッチングしてテレレレーとか鳴る度に鳥肌がたった。孤高であるヒーローが今や、集団で動いたりして孤高である悩みすら見えなくなってしまいました。そんな時代に、女性が活躍するヒーロー。孤高という悩みよりも、女性という枠を外し、「女性は強い」という意志を表現し切った。あまりにも豪快に衝撃的にだ。

 

13位 「ローガン」

X-MEN』シリーズのウルヴァリンが、傷つきながらもミュータント存亡の危機を救おうと突き進む姿を描くアクション大作。超金属の爪と超人的な治癒能力を持つ不老不死のヒーロー、ウルヴァリン老いて傷跡残る体で、ミュータントの未来の鍵を握る少女を守るべく戦う姿を活写する。

 

☆凄まじい回復力がなくとも少女を守るためにボロボロになっても向かっていく姿はどんなヒーローよりもカッコいい。希望は受け継がれ、Xは広がっていく。17年間ローガン演じたヒュージャックマンを途中からと言えどリアルタイムでシリーズを追ってきた身としてはこの映画はどんなファンよりもヒュージャックマンに捧げた花道としか思えない出来栄え。

 

12位 「君の膵臓をたべたい」

 住野よるの小説を映画化。膵臓(すいぞう)の病を患う高校生と同級生の“僕”の交流を、現在と過去の時間軸を交差させて描く。

 

☆2時間で時間軸を行き来することもあり、作品を通して出ずっぱりなキャラクターはいない。しかし、一人ひとりに滲み出てくるような人間らしさがあって、誰も憎むことができなくて、それが役者さんのお芝居を通して観る人に伝わる。時間の行き来が激しい分、想像力を働かせる必要があったり、噛み砕くのに体力が必要となるかもしれない。でも、だからこそ刺さるのだと思います。決してストーリー自体は難解ではないし、しっかりと受け止められ、投げ返すこともできる内容。感動も青春も恋愛も全部まんべんなくうまい具合に入ったボリュームのある傑作になっているのが、これまた凄い。

 

11位 「DESTINY 鎌倉ものがたり

人気漫画「鎌倉ものがたり」を、西岸が原作者である『ALWAYS』シリーズなどの山崎貴監督が実写映画化。人間だけでなく幽霊や魔物も住むという設定の鎌倉を舞台に、心霊捜査にも詳しいミステリー作家が新婚の愛妻と一緒に、怪事件を解決していくさまを描く。

 

☆やはりファンタジー映画というのは、映画の世界に引き込む演出に特化している。現実を忘れられる非日常的な世界観と、実際にもあるかもしれないという期待感は胸をときめかせる。最近の私は多忙で、映画館で映画を観ていても現実のことを考えてしまい、素直に映画館で映画を観れない状況が続いていた。しかしまぁ、本作品は私の悩み事や日頃の鬱憤を晴らしてくれるかのように映画の世界へ連れて行ってくれたのだ。ちょっと可笑しくて、感動的。さらには日本のファンタジーがここまで心に響くとは。日本人で良かった。

 

10位 「トランスフォーマー 最後の騎士王」

世界的ヒットを記録しているSFアクション『トランスフォーマー』シリーズの第5弾。地球に迫る危機に、人類とトランスフォーマーの混成チームが立ち向かう。前作に引き続き、マイケル・ベイ監督がメガホンを取る。マーク・ウォールバーグ、ジョシュ・デュアメルのほか、名優アンソニー・ホプキンスらが出演。これまでのシリーズで提示された謎の数々が明らかになる物語、金属生命体の創造主の登場に注目。

 

☆カオスすぎる。詰め込みすぎだ。美味いもんと美味いもん一緒にしたら最高に美味いもんになんじゃね?的なカツカレー理論を映画でやったら油を切っていないバカでかいカツが、肉ばっか入ったカレーの上に乗って出てきたんだ。そう、これはそういう映画。そもそもトランスフォーマーにストーリーや整合性を求めてはいけない。めちゃくちゃだから面白い世界。ド派手なバカ映画だから最高。

映像革命が怒涛の勢いで感覚に衝撃を与えた。観客をついて来させない。いや、ついて来いと言わんばかりの高速カット割りの連続。余韻に浸る暇もない、完全ルール無視での観客vsマイケル・ベイの決戦だった。

 

9位 「カフェ・ソサエティ

1930年代のハリウッドを舞台に、華やかな上流階級社会に飛び込んだ青年の恋を追う。メガホンを取るのは、数多くの名作を世に送り出してきたウディ・アレン

 

☆甘すぎない大人向け。華やかで享楽的なハリウッドの雰囲気と、ギャングやセレブも丸ごと全部受け入れちゃうエレガントな社交界を描き出した超傑作。大好きな作品。夢と現実の対比が見事で、いつかは醒める夢の表現やウディ・アレンお得意のシニカルな視点と独特のユーモア。哲学的なスパイスを加え、夢と現実の中間を表現するさまは圧巻。キラキラしている夢をハッキリとした現実で描こうとされる点が素晴らしい。

 

8位 「PARKS」

 東京の武蔵野市三鷹市にまたがる井の頭恩賜公園の開園100周年事業の一つとして制作された青春ドラマ。同公園と吉祥寺を舞台に、ひょんなことから出会った若い男女3人の姿を、数十年前に作られたある曲との関わりを交えながら追う。

 

☆衣装も含めて、隙がない。逆に隙がありすぎて、そう見えるのかもしれない。いかにもその場で出てきた感じでやろうという自然の流れが、現実を見ているようで「素」が溢れてくる。観ている私も映画の中でキャストたちと、フィーリングを一致させ、頭で考えずニュアンスで生きてるような感覚に陥る。そんな自然な自由さが軽やかで、幸せで、素敵な時間だった。橋本愛人間国宝に認定したいですね。

 

7位 「アシュラ」

架空の都市を舞台にした韓国発のノワールムービー。悪の限りを尽くす市長、彼に翻弄される刑事、市長の犯罪を白日の下にさらそうとする検事たちが激しくぶつかり合うさまを追う。

 

☆始まった瞬間から破滅的で、必死で、儚い。リアルな暴力が正義なぞアリはしないと謳うかのようである。あまりにも強大な悪の存在が優しい世界を打ち砕いていく様は刺激的で心にムチを打つのだ。常に誰かを恫喝して、相手を疑って、敵を屈服させるために蠢く社会の闇がワルをさらに悪い方へと導いていく。汚職や癒着に満ち満ちている社会が世界に広がっているのかもしれない。数々のもみ消された事実への激しい怒りと皮肉。この世界の不条理がワル視点で生き様を見てくれと言わんばかりに見せられる。

 

6位 「ベイビー・ドライバー

 エドガー・ライト監督のクライムアクション。音楽に乗って天才的なドライビングテクニックを発揮する、犯罪組織の逃がし屋の活躍を描く。

 

☆使いたい楽曲をセレクトしたうえで脚本を書き、楽曲に合わせて各シークエンスを作り上げるという神業を魅せて聴かせたエドガー・ライトスタンディングオベーション!!!!!!!!!

寡黙な若者がイヤホンで音楽を聴き、踊りながらアトランタの街を歩く。iPodから流れる音楽と効果音が映像とリンクし、車が車線を変更し、スピンし、銃が発砲され、人が走る。タイミングもメリハリも全て音楽に左右され、勢いが止まらない。耳も目も、ノリにのって足までステップを踏むくらい支配される影響力のある映像体験ができて私は幸せだ。

 

5位 「アナベル 死霊人形の誕生

ホラーシリーズ『死霊館』に登場する人形アナベルに迫るスピンオフの第2弾。手にした者を怪現象に引きずり込むアナベルの生まれた経緯が明らかになる。

 

アナベル2とも言える本作品は前作の消化不良感を打ち破る見事な恐怖演出の数々。恐ろしくも好奇心が惹かれまくる展開に。前作にあたる「アナベル 死霊館の人形」では、アナベル人形がなぜ呪われた人形になったかが描かれて今回は人形自体がどのような経緯で作られたかが描かれている。死霊館シリーズの一貫性として小道具が活かされ、恐怖演出として日常に存在する物が恐怖の対象となるリアリティーが存在する。今回の作品は時間軸的に一番最初の時間になるため、すべての始まりになるようなストーリー展開になっている。そのため、小道具やシリーズへの繋がりが見えてくるシリーズものならではの魅力もある。

 

4位 「マグニフィセント・セブン

黒澤明の傑作『七人の侍』と同作をリメイクした『荒野の七人』を原案にした西部劇。冷酷非道な悪に支配された町の住人から彼を倒してほしいと雇われた、賞金稼ぎやギャンブラーといったアウトロー7人の活躍を追う。

 

☆本作品において最も大事なのは、利他主義とヒロイズムを提示して、現代でも必要な正義の鉄槌をカッコ良く、ポップに、現代に「七人の侍イズム」や「荒野の七人イズム」を誰もが楽しめるエンターテインメントとして成立させるかである。その点において、全てを満たしたであろう本作はエンターテインメント業界の最高峰に君臨しても良いのではないか感じる。

 

3位 「IT」

 1990年に映像化されたスティーヴン・キングのホラー小説を、『MAMA』で注目を浴びたアンディ・ムスキエティ監督が映画化。静かな田舎町に突如現れた正体不明の存在が、人々を恐怖に陥れるさまが描かれる。

 

☆少年時代の自分と友人や家族の繋がり、森や川の風景、そして些細なことが大冒険や大事件であった様々な思い出、モノクロであったりセピア色であったりする少年時代の記憶を鮮やかなものに再現してくれる懐かしさが本作品では感じられる。早く大人になりたかった少年時代に、今となってまた戻りたくなるのは皮肉な話ですが、だからこそ自分の現実(今)が貴重な思い出になるよう、如何に大切に過ごして行くかが重要という結論に至る。そこに本作が加わえるのは、メインディッシュである「恐怖」という要素。子ども時代のトラウマや恐怖を体感したことは生涯忘れ切れない程の記憶となったりもする。つまり到底、戻りたくもない思い出も存在する。良い思い出も悪いつながりも同じように人にはあるということを教えてくれる。ITという存在を通して、、、。

 

2位 「僕のワンダフルライフ

少年に命を救われたゴールデンレトリバーが、転生を繰り返しながら自分の使命に気付く物語が描かれる。

 

☆犬目線を通して描かれる人同士の愛情が心に染み入ってくる。人はあまりにも周りの環境に左右される生き物だ。社会、仕事、地位……。その中で一途な愛は貫きにくいものだ。しかも人は愛されたがったりもする。さらに愛を望めば望んだほど、不満も生まれてくる。ベイリーの一途な想いは私たちが貫けない純粋な気持ちを表した愛そのものな存在に見えた。それでも人には無償の愛が存在する。利益もなく、損得勘定がない。人に尽くし、何とかしてあげたい。困っている友人を救い、好きな人を楽しませ、過去をいつまでも悲しまず、未来を憂いもしない。そんな人生を全うしたい。それこそが僕のワンダフルライフなのだ。

 

1位 「モアナと伝説の海」

 『アラジン』『ヘラクレス』などのロン・クレメンツとジョン・マスカー監督が再びタッグを組み、南太平洋に伝わる不思議な伝説を基に描くアニメーション。幼少時のある出来事をきっかけに海と強い絆で結ばれた、16歳のヒロインの大冒険を描写する。新人のアウリイ・クラヴァーリョがヒロインに抜擢された。南太平洋を舞台につづられる少女のアドベンチャーと、その歌声に魅せられるディズニーアニメーション。

 

☆「何か光る石を元あったとこに返さなきゃヤバい」という物語をディズニーが作るとこうなるんですよ。行って帰ってくるだけという物語に多彩なバックグラウンドを持つ『マッドマックス怒りのデスロード』(実際、本作品ではマッドマックス怒りデスロードをオマージュしたシーンがある)や指輪を捨てないと世界が闇に包まれる『ロードオブザリング』とモアナの大元は同じ。モアナはマッドマックスであり、ロードオブザリングでもある。類似作品がマッドマックスとロードオブザリングってヤバいな。

さらに主人公がモアナという女の子でありながら、神話や海、魔獣などの男の子が好きなものまでが、てんこ盛りである。『スターウォーズ』、『マッドマックス怒りデスロード』、『パシフィックリム』に通ずるような男のロマンを詰に詰込んだ最高に興奮してアドレナリンがドバドバ出るタイプの映画でエキサイティングしましょう!

しかも「お前らこういうの好きだろ?」っていう押し付けが見えてこないさり気ない推し方が素晴らしい!露骨じゃなく、インパクトを出す要素が散り散りになっていて楽しい!の連鎖が止まらない!あぁ!映画ってこんなにも楽しいのかよ!!!

ディズニーがスゴいとか言い出したらキリがないけど、ディズニーはスゴい。完璧すぎて文句のつけようがなかった。強いて言うならEDが加藤ミリヤなのが気に食わない程度。

最近のディズニーが提示するプリンセスムービーは現代的で革新的である。
王子様をただ待つのではなく、その旅は男女間の恋愛のためでもない、自分の選択で外の世界へ進出して世界を救う旅に出るのだ。これこそが新たなディズニープリンセスの特徴になってきている。

監督がリトルマーメイドやヘラクレスの監督を務めただけあって似ている要素が多々含まれる。そもそも海をモチーフにした『リトルマーメイド』と神話をモチーフにした『ヘラクレス』。モアナはどちらの要素も持っているため、似ているに決まっている。なのでディズニーアニメの上記2つが気に入っている人は鑑賞必須だろう。

南洋の島と水の表現が素晴らしく、またそこにディズニーミュージックが加わることで雰囲気までバッチシである。グッと心を掴まれ、離さない映像美に酔いしれる。大海原に吹く風や島の豊かな緑に宿る生命力まで全てがくっきりと鮮やかであるため、この美術だけで観る価値アリでしょう。映画館で観るタイプの映画だとハッキリ断言できる。

大人向け子供向けという概念さえ吹き飛ばす圧倒的な万人向けを作り上げることの大変さが理解できるだろうか。
本作品は、まさに「誰が観てもおもしろい」を追求し尽くしたお手本のようなアニメ。メッセージ性による深みもあり、単純に映像もキレイで、ストーリーもワクワクする。幾つか日本のレビューサイトの点数を見て回ったが、Filmarksの点数(現段階3.9)が1番低い平均値となっている。この点数でも十分に高い点数だが、正直Filmarksの点数を見てビックリした。これ平均点4.3くらいになると思っていた。
ちなみに本国アメリカでの評価は高く、レビューサイトRotten Tomatoesでは98%の批評家から高評価を得ている。

ズートピア』に背中を押されて、1年が経過した中でディズニーがまた背中を押してくれた。「やりたいことをやりなさい」という母のように、「社会はそんなに甘くないぞ」という父のように声をかけてくれる。ディズニーという影響力のあるブランドが発信するメッセージほど心強いものはない。本当に優しいなディズニーは。

2017年は、ディズニーにとって記念すべき年だ。というのも、長編アニメーション第1作目『白雪姫』の公開(1937年12月21日)から、ちょうど80年が経つのである。このアニバーサリーイヤーを祝うかのように、ディズニーは陽気で楽しげな雰囲気を持った新作『モアナと伝説の海』を2016年の11月23日に発表し、現在までに世界興行収入約6億ドルという大成功を収めている。

 

「故郷を救うための旅」という極めて王道な物語を骨組みとして、「自然に対する敬意」を表現する。そしてキャラクターの精神的な成長を組み込むことにより普遍的でありながら、観客が感情移入しやすい物語を作り上げている。

本作品の自然に対する見解は、ジブリ作品に通ずる考え方を見せてくる。自然界における人間の立ち位置と、自然への感謝の気持ちを呼び起こされる一連の流れはジブリ作品へのリスペクトにも近いのかもしれない。

ディズニーらしい小ネタも散りばめられている。アナ雪、アラジン、シュガーラッシュ、ベイマックス、ニモ、リトルマーメイドなどの小ネタがあるので探してみるのもおもしろい。

楽曲は過去のディズニー作品の中でも一二を争う力強い楽曲のオンパレードである。心臓を揺さぶるほどの熱い音楽に身体が震えているのが分かる。なんだこの映画!?自動的に身体が4DXで観ているかのような錯覚を起こすのか!?

アクションシーンが人間離れしたアクロバティックで豪快な動きで興奮した。芸が細かい上に、絵になるシーンが出てくるもんだから一瞬たりとも見逃せない。まばたきをするのが惜しいくらいだった。本当にありがとうディズニーさん。映画館でモアナを観れて良かった。大切な1本になりました。
毎年ディズニーの作品を映画館で観ると誓います。もう誓うしかないよね。

 

洋画部門1位は「モアナと伝説の海」

邦画部門1位は「PARKS」

 

ではまた来年。