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アダ名が歩くゲオでした

2016年 ホラー映画ベスト5

2016年。ホラー映画が豊作だった。

そもそも私はホラー映画が好きで映画館でよく観ている。しかし、最近のホラー映画は恐怖を感じるものが少なくなっているように感じていた。

映画館という閉鎖された空間で、真っ暗闇の中に大音量の絶叫が響き渡る…そんな環境でも怖くないものを「ホラー映画」と呼んでいいのかすら疑問である。

近年のホラー映画は、予告と本編のギャップが激しく、観に行くと悪い意味で「想像していたものと何か違う…」という感想が浮かぶ。予告からは面白さと怖さが漂うのに、本編が退屈で怖くないのだ。

そんな年が2〜3年続いた。

しかし、今年は違った。

邦画が大豊作と言われながらも、洋邦ともに完成度の高いホラー映画を輩出したのだ。それこそ、「本当に怖い映画」という名目で映画史に残る傑作になるだろうというホラーから奇跡の対決などの革命的ホラーまで多彩な恐怖が誕生した。

そこで私が今年観たホラー映画の中で面白さと恐怖を兼ね備えた名作を厳選して5作品ほど紹介したい。是非、カップルや家族、友人たちとキャーキャー言いながら…または「全然怖くねーぞ!」と強がりながら鑑賞して欲しい。

 

 

 

 

 

 

①「イット・フォローズ」


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 あの巨匠クエンティン・タランティーノが「とにかく怖い!こんな設定のホラー映画は観たことがない」と唸った映画。

セックスを介して「あるもの」が感染していく様が描かれる。

 

セックスをすることで「それ」は移る。

「それ」はどこまでも追ってくる。

「それ」は見知らぬ他人であったり、顔見知りだったりする。

「それ」は遅いが、頭が良い。

「それ」に追いつかれると……死ぬ。

 

ホラーはアイディア勝負だとよく言われるが、まさに本作「イット・フォローズ」を観るとその通りだと思わされる。神ってるほどのアイディア一発勝負劇だ。

セックスで移る「それ」。「それ」とは何か。という話が最初から最後まで繰り広げられる。「それ」は不気味で、予告編なんてインパクトばかりで普段はホラー映画なんて観ない層への好奇心にさえ働きかける発想があった。興味深い内容である。

実はこの映画の発想は監督の寝ている時に見た「夢」である。おそらく誰しもが見たことあるであろう「追いかけられる」夢だ。まぁそういう夢は心に余裕が無かったり、何かしらの問題を抱えている時によく見るらしいが……。

とにかく監督は夢から発想を得て、それに不気味さを足した。不気味な「何か」がずっと追いかけてくる……Twitter上ならそんなフォロワーはブロックできるが、映画じゃそうはいかない。しかも神出鬼没、変幻自在。怖い。

ネタバレになってしまうため、「それ」に関しては公にできない。是非、自分の目で確かめて欲しい。

 

 

②「残穢 住んではいけない部屋」


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ホラー映画というよりミステリー色が強いJホラーだが、あとを引く怖さがたまらなくウマい映画である。

強いてこの映画を表現するなら、「一発一発は軽いけど、積み重ねたダメージは必殺技よりも重い」という猛毒を持つホラー映画だ。先日、牡蠣にあたってしまったがマジでそんな感じ?のホラーである。意味は観たら分かる…はず。

こういうじわじわと来る感じが私の好みで、橋本愛が好きなこともあって見事にハマった。正直マンネリ化が進んでいたJホラーに革命を起こした傑作だとも思う。面白いし、怖い。

この映画に関わらず、ホラー映画は様々な映画の中でも特に「音」が重要になるジャンルだと思う。ビックリさせる音や何かが来る音……そんな演出に私たちは身体を強ばらせるのだ。本作「残穢」ではその音の使い方が並外れてうまかった。音のテクニシャンたちが揃っていた。それを映画館で体感できて良かったなぁ。

今でもあるかもしれないが、真夜中自分1人で起きたりしていると何かの音が聞こえたりして怯えたりしたことはないだろうか?

そんな恐怖が味わえるのが残穢である。

 

 

③「ライトオフ」


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 昨年、とある動画がYouTubeに公開された。

その動画はSNSを中心に爆発的な勢いで拡散され、全世界で約1億5千万回数再生された。現在も動画の再生数は増え続けている……。それはショートホラームービーであり、それだけ再生されたということは世界中が恐怖動画を「怖い」と認めた証拠でもある。その映像を今や現代ホラー映画界のトップを走るジェームズ・ワンが映画化した。ホラー映画となったのだ。

 

電気を消したら「何か」が来る。

職場、道、あなたの部屋……。

どこへでも追ってくる。

そこに暗闇がある限り……。

 

ジェームズ・ワンによって飾り付けされた恐怖動画は暗闇でも輝きを放つ。自分の家にも出そうと思えるほどのリアリティーと閉塞感が恐怖を加速させる。得体の知れない「何か」がそこにいる、または出てくるかもしれないという状況が88分間迫り続けるのだ。怖い。ビビった。震えた。

そんな恐怖も上で紹介した「イット・フォローズ」同様シンプルなアイディアだ。

電気を消したら「何か」が来る。ただそれだけ。ただそれだけなのに怖い。

日本人も外国人も電気を消す。そんな日常に恐怖を入り込ませた。

この映画を観た日。寝る前に、ふと思う。「電気を消したら…」。電気を消したら「何か」がいるんじゃないか。

ジョーズを観て、海に入るのが怖くなった時期があった。それと同じでライトオフを観て、電気を消すのが怖くなった……。

※続編の製作も決定したそうです。

 

 

④「死霊館 エンフィールド事件」


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ホラー映画史に残る大大大傑作が誕生した。

今年日本で公開されたホラー映画でブッチギリで怖い。というか、私が観たホラー映画の中でもブッチギリで怖い。本当に「怖すぎてヤバい」映画である。しかもこの映画、怖いだけじゃなく映画としてもよくできていて、2時間以上退屈させない。むしろ、2時間以上心臓がバックバック鼓動を鳴らしまくり、フルマラソンを完走したような疲労感を映画館から出た時に感じた。まぁフルマラソン走ったことはないんだけどね。

 

ロンドン北部、エンフィールド。

4人の子どもとシングルマザーの家族は、謎の音や動く家具などの怪奇現象に苦しめられていた。助けを求められた心霊研究家のウォーレン夫妻は一家を助けるために、その家を訪れる。

 

実話です。最大級のポルターガイスト現象です。ヤベェ(゚∀゚;)ヤ・・・ャバ

一応、続編なんですよね。「死霊館」という映画の。でも観てなくても大丈夫。時間があったら死霊館とスピンオフの「アナベル」にもチャレンジして欲しいですけどね。

監督はジェームズ・ワン。またお前か。

出来が良すぎるホラー映画にはドラマ性がピックアップされる。ただ怖いだけじゃダメだし、恐怖を押し出したいなら光と闇の緩急が必要となる。極論言えば、ずっと霊が出てても怖くないでしょ?って話。それが解消されててなおかつ感情移入しちゃうようなドラマがあるのが「死霊館 エンフィールド事件」な訳です。

 日常にある「ちょっとした怖いもの」に恐怖を味付けするのがジェームズ・ワンの十八番。例えば、夜のブランコや遊園地のピエロ。それがさらにトラウマになる。深夜に勝手に動くオルゴールや光るオモチャ…もうやめて!と泣き叫びたくなるような恐怖が襲って来る。しかも2時間以上ある。死ぬ。何度でも死ぬ。心臓が止まる。王道だからこそ貫くものがあり、斬新なアイディアは見えてこない。しかし、妙なリアリティーは実話であるという事実があって完成する。恐ろしくヤバいこの映画は私のNo.1ホラー映画記録を更新した。恐怖とは何か?この映画のことである。

 

 

⑤「ドント・ブリーズ」


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20年に1本の恐怖の作品。まぁ怖さは人によりけり。正直、私は怖くなかったけど面白いホラー映画として紹介したい映画である。

そもそもホラー映画としても怪しい映画だけど気になったらとりあえず予告だけでも観て欲しい。というか今、映画館でやってるから観に行って欲しい。元も子もないんだけどあらすじとか紹介するより予告が良い出来だし、そっち見て。

ナメてた爺さんが実はガチムチだったという最高のアイディア勝負。いやぁー凄いぜアメリカ。

「イット・フォローズ」と同じデトロイトが舞台なんだけどデトロイト・ホラーが今ビックウェーブに乗って来てんのか?いやぁー凄いぜアメリカ。流石だ。

全編通して緊迫感がとてつもないんだけど、ホラー映画のお決まりを守りつつ個性を出していく感じが愛しい。

同情するか、痛快に感じるか。っていう観ている側に選ばせる演出も良くて、どういう気持ちでいるか分からなくなった。

漆黒の闇が襲って来るシーンがあるんだけど、そのシーンでは眼の瞳孔が完全に開いていたりして撮影はアナログだけど、良い演出だなぁと感動してしまった。闇を映画館で体感できたのは大きいかもしれない。

タイトルの「息をするな」は大袈裟だけど、意識的に息を止めたりもして、その場にいるような緊迫感を感じたのも映画館のおかげだったから映画館に観に行った方が面白さは倍増すると思った。

 

 

ってな感じでホラー映画5作品を紹介しました。ホラー映画の好き嫌いって分かれるけど、夏になると何だかんだテレビで心霊番組やってたら見っちゃったり、2ちゃんねるの怖い話検索しちゃったり、誰かが怖い話し出したら「いやぁー!」とか言いながらも聞いちゃったりするもんで……。

怖いもの見たさで済むような5作品ではないですが、是非ともお暇があれば観て欲しい今年公開されたホラー映画5作品を紹介しました。

 

※寝れなくなっても責任は負いません